【ブラジルコーヒー】特徴とおすすめ焙煎度 市場価格までも左右する世界最大のコーヒー生産国

ブラジルコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説

世界一のコーヒー生産量を誇り一般的に有名なのがブラジルです。最高品質で最高級のコーヒー豆が揃っておいしいコーヒーがたくさんある!って思っていませんか?そんなブラジルコーヒーの特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を詳しく解説していきます。

基本情報
国名ブラジル連邦共和国(南アメリカ)
Federative Republic of Brazil
人口2億1255万9409人(※1)
面積851.2万平方キロメートル
首都ブラジリア
コーヒー生産量6896万袋(※2)

参考:(※1 United Nations World Population Prospects 2019より)

(※2 全日本コーヒー協会 ICO統計より)


ブラジルコーヒーの特徴 おすすめ焙煎度は?

淹れたときに感じる味や香り、生豆の特徴やおすすめの焙煎度などを解説します。

特徴

酸味が少なくクセのない味わいが特徴です。コーヒーらしい苦みも感じることもできます。

全体的にマイルドでバランスが良いコーヒーが多く存在します。


おすすめ焙煎度

香りを楽しみたい   浅煎り

バランスの良いコーヒーを楽しみたい   浅煎り~中煎り

低地で栽培されることが多く肉薄で小さな豆が多い傾向があります。「ウォッシュト」は蜂蜜のような甘さや質感が加わります。

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コーヒー豆の焙煎度 基礎知識

150年以上にわたる世界最大のコーヒー生産地 現在に至るまでの歴史を解説

世界総生産量の3分の1のコーヒーを生産しているブラジルですが、一時は市場の80%のシェアを占めるほどの巨大生産国でした。そんなブラジルコーヒーの歴史を解説します。

ブラジルコーヒーの歴史

初めてコーヒーがブラジルに来たのは1727年でフランス領ギアナから伝わりました。

「フランシスコ・デ・メロ・パリエッタ」という人物が北部にある現在のパラー州に植えたのが始まりで、南部に伝わるまで重要な作物ではありませんでした。


商業生産の始まり

最初に始まったのはリオデジャネイロ近くのパライーバ川の流域でした。この地域はコーヒーにとって理想的な土地で、リオデジャネイロに近いため輸出への利便性にも優れていました。

ブラジル初の商業生産は大規模な奴隷制の農園で行われており、奴隷制による産業化は他に例がなくブラジルのコーヒー生産だけに見られる特徴でもあります。19世紀中頃まで150万人の奴隷がブラジルに連れてこられ農園で働かされました。1888年に奴隷制度が撤廃するまで続きました。

1820年代になるとコーヒー生産は急速に発展しました。それは国内だけでなく世界の市場への供給を始めたからでした。

「コーヒー男爵」
コーヒー生産を取り仕切り、途方もない富と権力を手にした人々をそう呼びました。
その影響は政府の方針やコーヒー業界にまで及ぼしました。

1830年までにブラジルは世界総生産量の30%を占めるようになり、1840年には40%に増加しましたが需給のバランスが崩れ世界のコーヒー価格が下落しました。


第二次最盛期

1880年代から1930年代はコーヒーの第二次最盛期となります。この期間はサンパウロのコーヒー男爵たちとミナスジェライスの酪農家たちが政治情勢を動かしていたため「カフェ・コン・レイテ(コーヒーとミルク)期」と呼ばれていました。

1920年までにブラジルは世界の総生産量の80%に達しました。しかし生産力は衰えることなくコーヒーの膨大な余剰を招いてしまいました。

1930年代に起きた世界大恐慌でコーヒー価格は暴落し、大きな損害を受けました。そこで政府はコーヒー価格を上げるために在庫7800万袋の焼却処分を行いましたがほとんど効果はありませんでした。

第二次世界大戦中にコーヒー価格は下落しますが、価格を安定させようと輸出割合をベースにした国際的な取り決めを決定しました。これにより価格は上昇し、1950年代半に安定するまで続きました。

1962年に新たに大規模な国際コーヒー協定(ICA)を設立しました。この協定にはのちに42の生産国が参加するようになり割当率は国際コーヒー機構(ICO)が定めるコーヒーの指標価格によって決定され、もし価格が下がれば割当率も減り、価格が上がれば割当率も増える仕組みでした。この協定は1989年まで続きましたがブラジルが割当率の削減に応じなかったことをきっかけに効力を失いました。

ブラジルは自国を極めて有能だと信じ、自分たちだけでやれると自負していました。結果、(ICA)が破棄されたことで市場は混乱し、その後コーヒー価格は5年連続で大幅に崩れ落ちました。これがコーヒー危機を招く結果となり生産者たちが「フェアトレード」運動を始める流れを作ったといいます。


豊作と凶作を繰り返す

世界的にブラジルはコーヒーの独占的な供給国です。しかしそのためブラジルのコーヒーに何かあると世界のコーヒー価格に大打撃を与えてしまうことがあります。

長年にわたって収穫量の多い年と少ない年を1年ごとに繰り返してきました。しかし近年は安定してきています。

不安定になる要因としてコーヒーには収穫量の多い年と少ない年を交互に繰り返すサイクルがあるためです。これは毎年軽く剪定を行うことで対処できますがブラジルの生産者たちは大胆に刈り込みます。結果、枝が少なくなるので翌年の収穫量は当然減るというワケです。

1975年には植物の葉を黒くする黒霜の大規模な被害がありました。翌年の収穫量は75%近く減少し、その時のコーヒー価格は約2倍に跳ね上がりました。


近年のコーヒー生産

収穫量に重きを置いていますので最高級のコーヒーを生産しているという評判は得られていません。これは大多数の大規模農園があまり要領の良くない「しごき収穫」などの収穫方法で枝から全ての実をしごき落とすか振るい落とす手法を使っています。結果、未成熟豆も一緒になってしまうからです。

長年天日干しによる「ナチュラル」精製法を行なってきましたが1990年代初頭に「パルプド・ナチュラル」を導入し品質改善に大いに貢献しました。


ロブスタ種の生産

ブラジルはアラビカ種に限らずロブスタ種においても世界有数の生産国です。

ロブスタ種は「コニロン」と呼ばれロンドニア(西部)等の地域で生産されています。

国内消費量でも世界一を誇ります。2020年度では2240万袋を消費しています。(ちなみに日本は717万袋)


ブラジル豆の格付け(グレード)

格付け欠点豆の数豆のサイズカップテスト
最上級少ないNO.2大粒19高品質ストリクトリー・ソフト
  NO.3 18 ソフト
  NO.4 17 ソフティッシュ
  NO.5 16 ハード
  NO.6 15 リアード
  NO.7 14低品質リオ
最下級多いNO.8小粒13

ブラジル豆は3つの格付けで評価されます。上に行けば行くほど上質な豆になります。

例)ブラジル・サントス NO.2 19 ストリクトリーソフト
※ブラジル産・サントス港から輸出。欠点豆が非常に少なく、粒の大きさも味わいも最上級の豆であることがわかります。


トレーサビリティ

高品質なブラジル産コーヒーは特定の農園まで生産履歴を辿る事ができるが低品質なものは混ぜられ履歴はまったくわかりません。

「サントス」と表示されているコーヒーは「サントス港」から船積みされたという意味で生産地とは関係がないので注意が必要です。

ブラジル農園の風景

気になる生産地域をチェック!

ブラジルの夏は11月~4月、冬は5~7月です。熱帯地域は年間気温が25~35度で1年中蒸し暑い気候です。

主な生産情報と品種

生産地は比較的に低地が多く、様々な品種が栽培されています。特に決まった品種名もありません。

バイーア州

東ブラジルにある広大な州で国内最北の栽培地域です。2009年のカップ・オブ・エクセレンスで上位10位のうち4つをバイーア州のコーヒーが占め、世界でも注目される地域になりました。


シャパーダ・ジアマンチーナ

標高:1000~1200m

収穫期:6月~9月

国立公園で有名な景観が美しい地域です。「ルドルフ・シュタイナー」が発展させた有機農法「バイオダイナミック農法」で有名な農園が幾つかあります。


ミナスジェライス州

ブラジル南部にある国内最高峰の山々があり、コーヒー生産に必要な高度をもつ地域です。


スル・デ・ミナス

標高:700~1350m

収穫期:5月~9月

歴史的にブラジルコーヒー生産の拠点であり、代々受け継がれる小規模農家がたくさんあります。この地域は最近注目されていてコーヒー栽培に適した土壌と気候をたくさんの生産者が活用しています。


サンパウロ州

標高:800~1200m

収穫期:5月~9月

ブラジル有数の栽培地域「モジアナ」があります。1883年にこの地域でコーヒー鉄道を開業したモジアナ鉄道会社にちなんで名付けられました。モジアナ鉄道によって輸送は改善しこの地域の生産量も増大した歴史があります。


エスピリトサント州

標高:900~1200m

収穫期:5月~9月

比較的狭い生産地ですが年間生産量は国内2番目の多さを誇ります。また州都ヴィトーリアには輸出に欠かせない港もあります。しかし生産量の80%はコニロン種(ロブスタ種)です。


パラナ州

標高:平均950m

収穫期:5月~9月

ブラジルにとって重要な栽培地域の一つです。かつて最大の収穫量を誇っていましたが霜害が起こり多くの生産者が多角化に乗り出し、一時期は2200万袋ほどあった生産量が現在は200万袋まで減少しました。高度が低いため高品質なコーヒー生産には向きません。


まとめ

ブラジルコーヒーの解説は以上です。参考になったでしょうか?
世界には様々なコーヒーがあり、その産地独特の豆が多数あります。気になったら試してみて下さい。下記に生豆や味の特徴・おすすめ焙煎度・その他情報をまとめました。

【ブラジルコーヒー】特徴・おすすめ焙煎度・その他情報

味・生豆の特徴

酸味が少なくクセのない味わいが特徴です。全体的にマイルドでバランスの良いコーヒーです。

肉薄で小さな豆が多い傾向があります。「ウォッシュト」は蜂蜜のような甘さを感じます。


おすすめ焙煎度

香りを楽しみたい 浅煎り

バランスの良いコーヒーを楽しみたい 浅煎り~中煎り


豆の格付け(グレード)

ストリクトリー・ソフト ソフト ソフティッシュ ハード リアード リオ


トレーサビリティ

低品質なコーヒーは混ぜられてしまうため生産履歴を遡ることは不可能です。

「サントス」と表示されているコーヒーは「サントス港」から船積みされたという意味で生産地はまったく関係がありません。


注目の生産地域

バイーア州 2009年のカップ・オブ・エクセレンスで上位10位のうち4つを占めました。世界でも注目の生産地域です。

スル・デ・ミナス 栽培に適した土壌と気候を多数の小規模農家が活用している最近注目の地域です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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