焙煎について
世界には数多くのコーヒー豆が存在し、品種や生産国による精製方法、酸味や苦み、豆の大きさ、硬さなど様々な特徴があります。そして、そのコーヒー豆のポテンシャルを引き出すためには、適切な焙煎度(煎り止め)が必要になってきます。
焙煎で一番難しいのは「煎り止めのタイミング」です。
同じ焙煎度に仕上げることが出来なければ毎回味がブレてしまい、美味しいコーヒーを味わうことが出来なくなってしまいます。しかも、豆の特徴と焙煎度が合わなければ酸っぱくて飲めないコーヒーや、風味を全く感じないコーヒーが出来上がってしまいます。
お気に入りの豆を手にいれたら、豆に合った最高の焙煎度で味わって欲しいので焙煎度の特徴と煎り止めのタイミングを分かりやすく解説していきたいと思います。
注)各焙煎度のスコアはおおよその目安です。感じ方は個人によってバラつきがあります。
焙煎度の特徴と煎り止めのタイミング
豆の大きさや形、産地特有の特徴によって焙煎度は異なります。様々な焙煎度を研究し、自分の好みに合った深さを見つけ出すのも楽しみの一つです。
浅煎りの特徴と焙煎のコツ
浅煎り
苦味 | 1.0 |
酸味 | 5.0 |
香り | 4.0 |
甘味 | 2.5 |
コク | 2.0 |
上手く焙煎できると、甘く香ばしいフレーバーを引き出すことができます。
酸味や渋味、えぐみが強く出やすい焙煎度です。
低地産の含水量が少ない肉薄の豆が浅煎りに向いています。
パナマ、ハイチ、ドミニカなどのカリブ海系との相性が良いです。
ライト【 Light roast 】
浅煎り
水分が抜けて豆が小さくなります。
センターカットの白い部分が目立ってきます。
あまり手前で煎り止めると酸味が強くなりすぎる傾向があり、普段あまり飲まれない焙煎度です。
シナモン【 Cinnamon roast 】
浅煎り
色はまだ薄い茶色です。
酸味がやや抑えられ、苦みがやや増してきます。
一般的な「浅煎り」の焙煎度になります。
浅煎りのコツ
1ハゼが始まったらやや火力を落としてください。ハゼた豆とハゼていない豆の温度を調整し、焙煎の進み具合を均一化する狙いがあります。
1ハゼは約2分程度続きます。
中煎りの特徴と焙煎のコツ
中煎り
苦味 | 3.0 |
酸味 | 4.0 |
香り | 4.5 |
甘味 | 3.5 |
コク | 3.0 |
初心者にも焙煎しやすく、苦みと酸味のバランスがとれた焙煎度です。
コーヒらしい味や香りは、中煎りあたりから感じられます。
中低地産の豆が適しています。逆に高地産のコロンビアやケニアとの相性はイマイチです。
カリブ海系か自然乾燥式(ナチュラル精製)のブラジルとの相性が良いです。
ミディアム【 Medium roast 】
中煎り
浅めの中煎りといったイメージです。
適度に明るい茶色が理想です。
酸味がやや抑えられ、苦みが増してきます。
ハイ【 High roast 】
中煎り
豆のシワが伸び、香りが変化してきます。
1ハゼが終わり、2ハゼ直前の段階です。
酸味のピークが過ぎ、苦みと甘味が出始めます。
中煎りのコツ
1ハゼ終了から2ハゼ開始までおよそ2分が目安なので、火力に注意してください。このあたりから味の変化が進んでいきます。
2分より前に2ハゼが起きてしまったら火力が強すぎ、遅い場合は火力が弱すぎるので調整してください。
中煎りのおすすめ生産国
インド コンゴ パナマ ボリビア グアテマラ インドネシア ジャマイカ エクアドル キューバ コスタリカ ウガンダ ベトナム ニカラグア
中深煎りの特徴と焙煎のコツ
中深煎り
苦味 | 3.5 |
酸味 | 3.0 |
香り | 4.5 |
甘味 | 4.5 |
コク | 3.5 |
苦みと酸味の偏りがない味に仕上がり、コーヒーの味が一番豊かに出ます。
インドネシアのマンデリンやハワイコナといった個性の強い豆が向いています。
シティ【 City roast 】
中深煎り
苦みと酸味のバランスがマッチした焙煎度です。
バターのようなコクのあるフレーバーが感じられます。
フルシティ【 Fullcity roast 】
中深煎り
色味はかなり濃い茶色です。
焙煎後は豆に油が浮いてきます。
芳醇な香りと味が引き出せます。
バターやチョコレートのようなコクのあるフレーバーが感じられます。
中深煎りのコツ
味の変化が早くなるので、「見た目」と「音」で判断していきます。
豆自体かなり熱を持っているので、火を止めても焙煎が進んでしまいます。冷却時間も考慮して煎り止めて下さい。
1ハゼの時と同じように、2ハゼ開始後に火力を弱めると時間と心に余裕がでます。(心の余裕は結構大事です。)
中深煎りのおすすめ生産国
インドネシア ハワイコナ タンザニア コロンビア 中国 ウガンダ ベトナム ニカラグア フィリピン
深煎りの特徴と焙煎のコツ
深煎り
苦味 | 4.5 |
酸味 | 1.5 |
香り | 3.0 |
甘味 | 2.5 |
コク | 5.0 |
エスプレッソを淹れるときに適した焙煎度です。
苦みが突出し、味はやや単純化してきます。場合によっては「いぶり臭」もついてきます。
肉厚で酸味の強い高地産の豆が向いています。
ケニア、コロンビア、グアテマラと相性が合います。
フレンチ【 French roast 】
深煎り
黒が目立つ強めの茶色です。
煙が出始めます。
イタリアン【 Italian roast 】
深煎り
真っ黒になり、煙がかなりでます。
苦みが目立ち、風味は弱まります。
まとめ
※各焙煎度をクリックすると同ページ内の見たい場所まで移動できます。
煎り止めのタイミング 「1ハゼの手前まで」
1ハゼの音が聞こえたらすぐに煎り止め、冷却していきます。
酸味が強くなりすぎる傾向があります。
煎り止めのタイミング 「1ハゼのピーク」
1ハゼ開始後、約1分を目安に煎り止めてください。
酸味がやや抑えられ、苦みがやや増してきます。
煎り止めのタイミング 「1ハゼが終わった時点」
1ハゼ終了の見極めが大事です。
更に酸味が抑えられ、苦みも増してきます。
煎り止めのタイミング 「2ハゼが始まる直前」
1ハゼ終了後、1分30秒~1分50秒が目安になります。
酸味のピークが過ぎ、苦みと甘味が出始めます。
中深煎り
シティ【 City roast 】
煎り止めのタイミング 「2ハゼが始まってすぐ」
2ハゼ初期で煎り止めると「やや浅めの中深煎り」、ピーク手前だと「やや深めの中深煎り」になります。
苦みと酸味のバランスがとれた焙煎具合です。
煎り止めのタイミング 「2ハゼ終了後すぐ」
2ハゼ終了を待ってから煎り止めると少し遅いので、気持ち早めに煎り止めてください。
焙煎後は豆に油が浮いてきます。芳醇な香りと味が引き出せます。
煎り止めのタイミング 「黒みの中に、茶色が残っている段階」
完全に目視確認しかありません。
自宅で焙煎できるギリギリのラインです。
煎り止めのタイミング 「茶色がなくなり、黒くなるまでの状態」
自宅での焙煎はおすすめできません。
苦みが目立ち、風味は弱まります。
ワンポイントアドバイス
焙煎開始の「水抜き」という作業はとても大事です。豆が黄色くなるまで、じっくり弱火で10分はやりましょう。
煎り止めてからも豆同士の熱で焙煎は進みます。焙煎終了後は手早く冷ますことがとても重要です。