フィリピンコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説
東南アジアに位置する島国で、7000を超える島々を保有しています。
観光をはじめとするリゾート地が数多く存在し、近年目覚ましい経済成長を遂げています。そんなフィリピンコーヒーの特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を詳しく解説していきます。
基本情報 | |
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国名 | フィリピン共和国(アジア) Republic of the Philippines |
人口 | 1億958万1085人(※1) |
面積 | 29.8万平方キロメートル |
首都 | マニラ |
コーヒー生産量 | 25万袋(※2) |
参考:(※1 United Nations World Population Prospects 2019より)
(※2 全日本コーヒー協会 ICO統計より)
フィリピンコーヒーの特徴 おすすめ焙煎度は?
淹れたときに感じる味や香り、生豆の特徴やおすすめの焙煎度などを解説します。
特徴
アラビカ種とロブスタ種を生産している珍しい国の一つです。
おすすめ焙煎度
【アラビカ種】酸味と苦味、甘さのバランスを楽しみたい 中深煎り〜深煎り
【ロブスタ種】濃厚でコクのある風味を楽しみたい 中深煎り〜深煎り
焙煎について 世界には数多くのコーヒー豆が存在し、品種や生産国による精製方法、酸味や苦み、豆の大きさ、硬さなど様々な特徴があります。そして、そのコーヒー豆のポテンシャルを引き出すためには、適切な焙煎度(煎り止め)が必要になってきます。 […]
現在に至るまでの歴史を解説
スペイン、アメリカによる植民地時代と第二次世界大戦中には日本軍による支配を受けるなどフィリピンは過酷な時代を歩んできました。
自然災害も多く、災害時にはインフラや家屋など大きな打撃を受けることが度々あります。
フィリピンコーヒーの歴史
1740年にスペインの修道士が、カラバンソル地方のバタンガス州リパに植えたのが始まりと伝わっています。
その後スペインの植民地のもとで栽培され、国内全土に広がりました。
1860年代に入るとコーヒーの輸出が盛んに行われていきました。
当時の主な輸出先はアメリカでした。1869年にスエズ運河が完成すると、ヨーロッパにも輸出が始まりました。
1880年代にはフィリピンのコーヒー輸出量は世界第4位になるまで成長していきました。
しかし1889年に「さび病」と呼ばれるコーヒーの病気がフィリピンで大発生してしまいました。さらに害虫も大発生し、当時の主要な生産地だったバタンガス州は壊滅的な被害を受けました。
被害を食い止めるためにコーヒーの苗を北部のカヴィテ州へ移植しましたが、多くの農家はコーヒー栽培に見切りをつけてしまい生産量が激減してしまいました。
1950年代になるとようやく政府がコーヒー産業復活を目指すべく動き始めました。
アメリカからの支援を受け、病気に強いロブスタ種など様々な品種を作り始め生産量は伸びていきました。しかし輸出できる量には程遠く、国内需要をようやくまかなえる程度の生産量でした。
今現在も輸出はほとんど行っていません。また、ほとんどがロブスタ種のため入手も困難を極めます。
フィリピンで特に人気のあるコーヒー
「バラココーヒー(Barako Coffee)」
「バラコ」は「強い」を意味します。名前のとおり濃厚で強い苦みと香りが特徴です。
豆は「リベリカ種」という希少な品種です。生産量、流通量が少なく、”幻のコーヒー”と呼ばれています。
現在はバタンガス州やカヴィテ州で生産されています。標高の低い場所でも栽培可能で10mに大木にもなるリベリカ種は、世界的にとても珍しい品種です。
一般的にペーパードリップやフレンチプレスを使って淹れます。普段飲んでいるコーヒー豆とは異なり、香りや味・コクの強さが引き立っています。
(普段ブラックで飲まれている方も、ミルクを入れて飲むことをお勧めします)
バラココーヒーの流通量は普段流通するコーヒー豆の1%以下です。現地販売が多く、輸出もほとんどされていません。
「アラミドコーヒー」
バラココーヒーと並んでフィリピンで人気なコーヒー豆です。値段も世界一と言われています。
ジャコウネコのフンから採取したコーヒー豆です。
インドネシアの「コピ・ルアク」もジャコウネコのフンから採取していますが、違いは以下の通りです。
フィリピン産=山に住む野生のジャコウネコが自生しているコーヒーノキからコーヒーチェリーを食べ、フンとして出たものを採取したもの。(天然物)
インドネシア産=飼育しているジャコウネコにコーヒーチェリーを食べさせ、フンとして出たものを採取したもの。(人工的)
何の品種を食べたのかはジャコウネコしかわからないので、どんな味かは飲んでみるしかわかりません。まさに天然のブレンドコーヒーとも言えます。
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フィリピン豆の格付け(グレード)
等級 | 名称 | 基準 |
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— | — | — |
現在のところ決まった等級は存在しません。生産地や品種で判断するしかありません。
トレーサビリティ
生産履歴を調べることは比較的簡単です。
気になる生産地域をチェック!
山の標高は高く、活動中の火山が多数点在しています。
主な生産情報と品種
コーヒー豆の生産地域は島や地域ごとにまとめられることが多いです。
ミンダナオ地方
標高:700~1200m
収穫期:10月~3月 品種:ティピカ、カティモール、ロブスタ、エクセルサ
フィリピンで最も南にあるこの地域は、国内の約70%のコーヒー生産量を占めています。
地元産スペシャリティコーヒーを売る店が増えている地域です。
カラバルソン地方
標高:300~500m
収穫期:10月~3月 品種:ロブスタ、リベリカ、エクセルサ
希少な「リベリカ」「エクセルサ」を栽培している地域です。
フィリピンコーヒー始まりの地です。リベリカ種の木を今でも確認することができます。
ビサヤ地方
標高:500~1000m
収穫期:10月~3月 品種:カティモール、ロブスタ
3000人に満たない小規模農家が生産に携わっています。
古い木から新しい苗木に入れ替えている最中で、少しずつ生産量も増えてきています。
同じ地域のコーヒー生産国【アジア】
コーヒーは国によって様々な特徴があります。
近隣の国をまとめたので興味があれば読んでみて下さい。
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まとめ
フィリピンコーヒーの解説は以上です。参考になったでしょうか?
世界には様々なコーヒーがあり、その産地独特の豆が多数あります。気になったら試してみて下さい。下記に生豆や味の特徴・おすすめ焙煎度・その他情報をまとめました。
※印の題名をクリックすると同ページ内の見たい場所まで移動できます。
【アラビカ種】フルーティーさと甘さのバランスの良さが特徴です。
【ロブスタ種】濃厚な口当たりと独特な風味を感じます。
【アラビカ種】トータルのバランスの良さを楽しみたい 中深煎り~深煎り
【ロブスタ種】濃厚でコクのある風味を楽しみたい 中深煎り~深煎り
決まった等級はありませんが、生産地や品種で判断できます。
管理がしっかりしているので容易に確認できます。
ミンダナオ地方 国内約70%のコーヒー生産量を占めています。
カラバルソン地方 フィリピンに初めてコーヒーが伝わった地です。
ビサヤ地方 小規模農家が多く、生産量が徐々に増えている地域です。