ハイチコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説
カリブ海で最も人口の多い国で、コーヒーを主な農作物としているハイチは大きな可能性を秘めた生産地でもあります。
そんなハイチコーヒーの特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を詳しく解説していきます。
基本情報 | |
---|---|
国名 | ハイチ共和国(中央アメリカ) Republic of Haiti |
人口 | 1140万2533人(※1) |
面積 | 2.7万平方キロメートル |
首都 | ポルトープランス |
コーヒー生産量 | 35万袋(※2) |
参考:(※1 United Nations World Population Prospects 2019より)
(※2 全日本コーヒー協会 ICO統計より)
ハイチコーヒーの特徴 おすすめ焙煎度は?
淹れたときに感じる味や香り、生豆の特徴やおすすめの焙煎度などを解説します。
特徴
なめらかな甘さと香りが感じられる軽やかな味わいが特徴です。
ミネラル分が豊富な土壌のため、ほのかな塩味も感じる豆もあります。
おすすめ焙煎度
爽やかな酸味となめらかな甘さを楽しみたい 浅煎り~中煎り
カリブ海らしいクリーンな飲み心地を楽しみたい 浅煎り
カリブ海特有の軽い味わいの豆が多く、マイルドなコーヒーが楽しめます。
焙煎について 世界には数多くのコーヒー豆が存在し、品種や生産国による精製方法、酸味や苦み、豆の大きさ、硬さなど様々な特徴があります。そして、そのコーヒー豆のポテンシャルを引き出すためには、適切な焙煎度(煎り止め)が必要になってきます。 […]
現在に至るまでの歴史を解説
過去のコーヒー生産量は世界全体の半分を占めていました。しかし政治的混乱と自然災害に阻まれ、現在は作り手が激減し深刻な状況に陥っています。
ハイチコーヒーの歴史
1725年にフランスの植民地だったマルティニーク島からコーヒーは持ち込まれました。
最初は北東部のテリエ・ルージュという町で栽培され、約10年後にはコーヒープランテーションもできるようになりました。
1788年のピークまでにコーヒーの生産量は急激に伸び、世界の半分を占めるまでになりました。
1804年に独立を果たしましたが政治が安定せず、生産量は急激に落ち込みました。
徐々に回復を見せましたが1850年をピークに再度落ち込み始めました。
1940年代に3度目のピークを迎え、1949年には世界の3分の1を占めるまでに生産量は回復しました。しかし1957年~1986年の独裁政権により経済と共にコーヒーも衰退していきました。
1990年代半ば「ネイティブコーヒー生産者組合(FACN)」が設立されました。
FACNはハイチ産のコーヒーに「ハイチブルー」というブランドをつけ、販売管理を行いました。生産者は高い報酬を得ることに成功しましたが、組合のずさんな経営により状況が悪化、FACNは解散してしまいました。
さらに2010年にマグニチュード7.0の地震「ハイチ地震」が起こり、弱っていたコーヒー業界は壊滅的な被害を受けました。
現在は様々なNGOから出資を受け、高品質コーヒーの栽培を続け経済の回復を試みています。
カリブの秘宝「ブルーパイン」
酸味、苦み、コク、香り、甘味、すべてにおいて高いレベルを誇るコーヒーです。
ハイチ南部の組合「COOPCAB」が栽培指導、品質管理を行っています。
栽培は主にベランス(Belle Anse)で行い、世界から高い評価を得ています。
ハイチ産自体が珍しく、高価なコーヒーなので手に入れることはとても難しいです。見つけたら迷わず試してみてください。
ハイチ豆の格付け(グレード)
等級 | 名称 | 豆の大きさ |
---|---|---|
1 | エクストラファンシー | スクリーンサイズ18(7.14mm~) |
2 | ファンシー | スクリーンサイズ17(6.75mm~) |
3 | チョイス | スクリーンサイズ16(6.35mm~) |
4 | オーディナリ | スクリーンサイズ15以下(~6.34mm) |
主に4つの等級で表示されます。等級は豆の大きさ(スクリーンサイズ)で決まります。
トレーサビリティ
共同組合が管理しており、高品質なコーヒーを手に入れることができます。
しかしハイチのコーヒーは国内消費率が高く、国外に輸出される量はわずかです。
気になる生産地域をチェック!
標高が高く、日影が豊富な森林も多いのでコーヒー作りには恵まれた環境が揃っています。
平均気温も年間を通して高く、夏は特に蒸し暑くなります。
主な生産情報と品種
国内に広く小規模農園が存在しています。特に中央部は今後に期待される生産地です。
マールブランシュ
標高:1200~1500m
収穫期:8月~3月 品種:ティピカ、カトゥーラ、ブルボン
ハイチ国内では、最も標高の高い場所「ラ・セル山」にあり高品質の豆を生産しています。
サバナゾンビ(サヴァーヌ・ゾンビ)
標高:1200~1500m
収穫期:8月~3月 品種:ティピカ、カトゥーラ、ブルボン
「ラ・セル山」の近くにあり、ソフトな甘みとナッツ系のフレーバーが感じられます。
バプティスト
標高:約100m
収穫期:8月~3月 品種:ティピカ、カトゥーラ、ブルボン
オット山地の南県にあり高品質なコーヒーを生産しています。小規模農園が多く集まっています。
アルティボニット県、中央県
標高:約100m
収穫期:8月~3月 品種:ティピカ、カトゥーラ、ブルボン
北部ほど生産量はありませんが、今現在とても期待されている地域です。
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コーヒーは国によって様々な特徴があります。
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まとめ
ハイチコーヒーの解説は以上です。参考になったでしょうか?
世界には様々なコーヒーがあり、その産地独特の豆が多数あります。気になったら試してみて下さい。下記に生豆や味の特徴・おすすめ焙煎度・その他情報をまとめました。
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なめらかな甘さと香りが感じられるマイルドなコーヒーです。
ミネラル分が豊富な土壌なので、ほのかな塩味も感じる豆もあります。
爽やかな酸味となめらかな甘さを楽しみたい 浅煎り~中煎り
カリブ海らしいクリーンな飲み心地を楽しみたい 浅煎り
エクストラファンシー ファンシー チョイス オーディナリ
共同組合が高品質なコーヒーを管理しています。しかし国内消費率が高いので輸出量はわずかです。
マールブランシュ 最も標高の高い「ラ・セル山」の環境を生かした高品質の豆を生産しています。
サバナゾンビ ソフトな甘みとナッツ系のフレーバーが特徴です。
アルティボニット県、中央県 生産量は少ないが、今後の成長に期待されている地域です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。