ベトナムコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説
観光にも人気があるベトナムですが、実はコーヒー業界でもとても重要な位置を担っています。
南北に長いベトナムは地域によって気候が大きく変わり、食文化も異なります。そんなベトナムコーヒーの特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を詳しく解説していきます。
基本情報 | |
---|---|
国名 | ベトナム社会主義共和国(アジア) Socialist Republic of Viet Nam |
人口 | 9733万8583人(※1) |
面積 | 32.9万平方キロメートル |
首都 | ハノイ |
コーヒー生産量 | 2900万袋(※2) |
参考:(※1 United Nations World Population Prospects 2019より)
(※2 全日本コーヒー協会 ICO統計より)
ベトナムコーヒーの特徴 おすすめ焙煎度は?
淹れたときに感じる味や香り、生豆の特徴やおすすめの焙煎度などを解説します。
特徴
【アラビカ種】
甘いナッツ系の味が特徴的です。
【ロブスタ種】
香りや甘味に乏しく、木のような独特な匂いがあります。
おすすめ焙煎度
【アラビカ種】ルビーマウンテン
酸味と苦み、マイルドなコクをバランス良く楽しみたい 中煎り~浅めの中深煎り
【ロブスタ種】
独特な香りとしっかりした苦みを楽しみたい 中深煎り~深煎り
ベトナムのアラビカ種は、市場に出回る数が少ないので値段も少し張ります。ロブスタ種は主にリキッドコーヒーや缶コーヒーに使用されます。
焙煎について 世界には数多くのコーヒー豆が存在し、品種や生産国による精製方法、酸味や苦み、豆の大きさ、硬さなど様々な特徴があります。そして、そのコーヒー豆のポテンシャルを引き出すためには、適切な焙煎度(煎り止め)が必要になってきます。 […]
現在に至るまでの歴史を解説
隣接する中国やカンボジア、植民地時代のフランスなどから影響を受けて独自の文化を歩んできました。食事は日本人に合うものが多くとても人気があります。
ベトナムコーヒーの歴史
1857年にフランス人がコーヒーを持ち込み栽培が始まりました。
しかし、しばらくは成功せずベトナム戦争などで栽培も一時中止されたりしました。終戦後も収益と生産量は増えず、5000~7000トン程度の収穫量でした。
その後、1986年のドイモイ政策によってコーヒー産業は大きな変化を遂げました。
当初2万ヘクタール程の土地しかなかった栽培面積は25倍に増加し、コーヒーの総生産量も一気に100倍に増えました。2000年頃のベトナムは世界のコーヒー価格に強大な影響力を持つようになりました。
2000年の生産量は90万トンありましたが徐々に落ち込み始めました。
今はコーヒー価格の上昇とともに回復し、2012年~13年の収穫量は約130万トンになりました。現在もベトナムは世界のコーヒー業界に大きな影響を与えています。
ベトナム豆の格付け(グレード)
等級 | 豆のサイズ | 欠点豆の割合 |
---|---|---|
G1 | スクリーンサイズ16以上、14未満 | 5%以下 |
G2 | スクリーンサイズ14以上、12未満 | 10%以下 |
G3 | スクリーンサイズ12以上、10未満 | 20%以下 |
基本的に欠点豆の割合と豆のサイズで格付けされます。
「ルビーマウンテン」ベトナムで生産される貴重なアラビカ種
ハノイ周辺で栽培されたアラビカ種です。
ルビーの採掘場だった場所で生産されたコーヒー豆として有名です。
1年を通した温暖な気候、高い標高と昼夜の気温差が激しい場所で栽培しています。
火山灰地で土壌も良く、降雨量も豊富です。しかもコーヒーベルトに属しているので、コーヒー栽培に最適な場所です。
完熟したコーヒーの実を手摘みで丁寧に収穫し、天日干しで乾燥させてから、水洗式にて精製されます。
わずかな酸味と苦み、マイルドなコクを感じることができるバランスの取れたコーヒーです。
おすすめ焙煎度は中煎り~浅めの中深煎りです。
トレーサビリティ
大規模農園が多数あり、管理体制もしっかりしているので生産履歴の確認も容易です。
ただし、ロブスタ種の生産が圧倒的に多いのでアラビカ種の高品質なコーヒー豆を見つけるのは少し困難かも知れません。
気になる生産地域をチェック!
南北に長いベトナムの気候は北部には四季があります。対する南部には四季が無く、年間を通して気温の高い状態が続きます。
主な生産情報と品種
北部ハノイ周辺は標高も高く、アラビカ種の栽培環境も十分整っています。
逆に中央部と南部の標高は低く、ロブスタ種の生産が中心になっています。
中央部
標高:600~1000m
収穫期:11月~3月 品種:ロブスタ種、アラビカ種
ロブスタ種を主に生産しています。ダグラス、ラムドン省の2つでロブスタ種の国内生産量の約70%を占めています。
少しですがアラビカ種も生産しています。
南部
標高:200~800m
収穫期:11月~3月 品種:ロブスタ種
ドンナイ省で生産しています。この地区は近年、大企業から注目されています。
北部
標高:800~1600m
収穫期:11月~3月 品種:ブルボン、カティモール、ロブスタ種
ハノイ周辺でアラビカ種を生産しています。国内での生産割合は3~5程ですが、世界のアラビカ種生産ランキングでは上位に位置しています。ただし品質は今一つです。
同じ地域のコーヒー生産国【アジア】
コーヒーは国によって様々な特徴があります。近隣の国をまとめたので興味があれば読んでみて下さい。
インドネシアコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説 独特な味わいがあるインドネシアコーヒーは世界中の人々から愛されています。 伝統的な精製技術「スマトラ式」を持つインドネシアコーヒーの特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を詳しく解[…]
中国コーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説 中国マーケットの中でもコーヒー産業は歴史が浅く、まだ課題も残りますが目が離せない産業の一つでもあります。 そんな中国コーヒーの特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を詳しく解説していきます[…]
インドコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説 世界第2位の人口と、日本の約9倍の国土を有する多民族国家です。 地域によってかなり気候が異なり「暑季」「雨季」「乾季」があり、これらの気候もコーヒーの味に一役買っているようです。[…]
イエメンコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説 首都サヌアは世界遺産にも登録されるほど美しい造りをしている国です。 その上、独自の生態系を持つソコトラ島などイエメンは魅力あふれる国なのです。 フクちゃん 過去[…]
フィリピンコーヒー 特徴とおすすめ焙煎度、生産地域を解説 東南アジアに位置する島国で、7000を超える島々を保有しています。 観光をはじめとするリゾート地が数多く存在し、近年目覚ましい経済成長を遂げています。そんなフィリピンコーヒー[…]
まとめ
ベトナムコーヒーの解説は以上です。参考になったでしょうか?
世界には様々なコーヒーがあり、その産地独特の豆が多数あります。気になったら試してみて下さい。下記に生豆や味の特徴・おすすめ焙煎度・その他情報をまとめました。
※印の題名をクリックすると同ページ内の見たい場所まで移動できます。
アラビカ種は甘いナッツ系の味が特徴的です。
ロブスタ種は木のような独特な匂いがあります。
おすすめ焙煎度
【アラビカ種】
酸味と苦みをバランス良く楽しみたい 中煎り~浅めの中深煎り
【ロブスタ種】
独特な香りとしっかりした苦みを楽しみたい 中深煎り~深煎り
G1 G2 G3
(アラビカ種)ルビーマウンテン
管理体制がしっかりしているので生産履歴の確認も容易です。
北部 ハノイ周辺で生産されるアラビカ種「ルビーマウンテン」がおすすめです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。